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偽モンブランを掴まないための記事 【本物と偽物の比較】

2024年1月23日

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こんにちは。
 
突然ですが、次の3つのホワイトスターのうち偽物は①・②・③のどれでしょう?
 

 
難易度は高めかも知れません。
回答は後ほど。
 
“ついに手にしてしまったモンブランの筆記具。
いや、ついに手にしてしまったと“思っていた”モンブランの筆記具。
 
使うにつれて沸いてくる疑問。ネットで調べていくうちに疑問は確信へと。そしてもう一本(正規品)購入へ…”
 
今回はモンブラン マイスターシュテュック クラシックのボールペンの本物と偽物を比較レポートします。外観比較で使用するのは3本(+α)、
マイスターシュテュック/クラシック・プラチナライン/ボールペン
マイスターシュテュック/クラシック・ゴールド/ボールペン
マイスターシュテュック/クラシック・プラチナライン/万年筆
 

 
さて、オークションで手に入れたペンは本物か偽物かという疑問が付きまといます。推測するに、オークションで出回っているモンブランの筆記具の半分以上は、写真や状況から偽物(コピー品)だと考えています。
 
手に入れた経緯を伏せてレポートすることもできるのですが、「情報を後世に残す」というこのブログのコンセプトから、他の誰かが同じような経緯で手に入れたペンがあった場合、真贋が少しでも明らかになるように共有していきたいと思います。
 
モンブランのボールペンを正規ショップで買うことを考えると、オークションで落札したものは中古といえど格安なため、まともな商品であった場合かなりお得にゲットできたということになります。これはオークションの醍醐味といえますね。
しかしながらその分リスクもつきまとうわけで…。
 
ということで、今回のペンは新品ではなく中古美品。プラチナラインのボールペンの方は箱や説明書などはなくペンのみ、ゴールドの方は正規品の箱も説明書兼保証書もあり、プラチナラインの万年筆は正規品です。
 
オークションで中古のものを手に入れた時点で、本物であってもどの年代のモンブラン筆記具なのか不明確であり、偽物である可能性も踏まえて自分なりにいろいろと調べ、そして使っていくうちに今回手にしたプラチナラインのボールペンは偽物と確信しましたので後述していきます。
 

 

 

真贋判定について


 
▲左のプラチナが偽モン、右のゴールドが本物
さて、この偽モンブラン(以降:偽モン)ですがなかなかよくできています。ぱっと見は本物ではないかというクオリティです。
 

 
自力でなんとか真贋判定しようと思いましたが、ネットにはシリアルナンバーなどの情報が少なく、近年偽物のクオリティも上がってきている(笑)らしいので、最終的にオークションで落札した品の真贋を正確に判定するにはモンブランブティックに持ち込むという方法しかなさそうです。
 
確かに本物の定義をパキッと出すとそれをまたコピーされかねませんのでしょうがないのかも知れません。
 
ということで、モンブランブティックが近くにないこと、本物の具体的な条件は公開されていない(らしい)ことを踏まえて、あくまで正規品とそれ以外(偽モン)の比較として、現在手元にあるモンブラン筆記具の違いを記録として残していきたいと思います。
 

 

スペック比較

本物:筆記時の全長140mm、軸径12mm、重さ23
偽モン:筆記時の全長139mm、軸径12mm、重さ23
 

左:偽モン  右:本物
 
スペックを比べてみるとほぼ同じですが、手元の偽モンは全長が1mm短いです。
 

 
ただし、ペンの全長などは製造された年代によって細かな仕様変更がされてるようで、これだけでは真贋判定できません。
 

外観比較/ホワイトスター

それではまず、外観の比較として天冠の部分からペン先へと順に辿っていきたいと思います。
 
モンブラン筆記具の象徴といえるホワイトスター。お洒落ですよね。
 

 
左:偽モン  右:本物
 
ぱっと見は本物のように見えますが、細かく見ていくとホワイトスターの輪郭に滲みが見られる部分があります。
ホワイトスターは角が丸められた正三角形が2つ重なったデザインをしています。
 
この丸められた角の部分の仕上げが均等ではない(尖っていたりする)のが偽モンです。これはかなりまじまじと見ないと分からないレベル。
 
ということで、冒頭の問題の答えは①でした。
正解できたでしょうか?
 

 
また、このホワイトスターのある天冠部分は、本物はねじ式で取り外すことができます。
 
ただ、これも正確な文献がなく、製造年代によって外れないものもある可能性がありますので、真贋判定の決定打ではないと思われます。
 

(2019.7 追記)

様々なモンブランの筆記具を使ってきて気づいたことが、天冠の部分を普通に指でねじって外せるのはボールペンとペンシルのみで、万年筆とローラーボールは外せないということです。また、一部の限定モデルの中にはボールペンであっても外れないものもあるようです。

あくまで当記事で扱う「№164に関して」ですので、外れないモデルの天冠を無理に回されて壊さないようご注意ください。

 

 

外観比較/クリップ

クリップの外見はほぼ違いがないように見えます。
しかし厳密に見ていくとクリップ部分の仕上げが偽モンは甘いです。
 
また、一番のポイントが「GERMANY」の刻印とシリアルナンバーです。
 
私が今回、このプラチナラインのボールペンを偽モンと確信した要因のひとつがシリアルナンバー。
 
モンブラン筆記具のクリップ部の刻印には、ライカカメラのような角張ったデザインのフォントが使われています。
 

 
左:偽モン  右:本物
 
刻印の「GERMANY」の“A”の部分のフォントですが、偽モンが通常のAに対して、本物のAは上部が角張っています。
 
もしかしたら製造年による仕様変更とかで過去の本物も通常のAである可能性はありますが、現行品のAは上部が角張ったフォントが使われています。また、製造年代によっては「W.-GERMANY」(西ドイツ)と彫られているものもあるようです。
 

(2019.7 追記)

「GERMANY」のフォントは年代によって変化するという説が有力です。シリアルナンバーが付き始めたベルリンの壁崩壊後から数年のモデルは「GERMANY」と「シリアルナンバー」共に通常のフォントに通常のアラビア数字が使われています。

 

ライツノルムのような四角いフォントに変わったのは、90年代の終わりから2000年にかけてではないかと考えます。
 
しかし上の偽モンの写真にあるように、通常のアルファベットの「GERMANY」と四角いフォントの「シリアルナンバー」がひとつのボールペンに混在することはまずないことから、これが偽物ということが判断できます。

 

 
そして、肝心のシリアルナンバーです。
 
手元にある偽モンのシリアルナンバーは「IW1666858」。実はこれと同じシリアルナンバーのペンが世界中に存在しているようです。
 
シリアルナンバーの重複に気づくにはGoogle検索で、「モンブラン XXXXXXXXXXはシリアルナンバーの数字の部分)」で検索するとヒットする確率が高いです。
 
手元にあるシリアルナンバー「IW1666858」は海外の掲示板で発見しました。
しかも現在もこれと同じシリアルナンバーのボールペンがヤフオクでも出品されています。※出品者も偽物(コピー品)と気づいていない可能性がある。
 
厳密にモンブラン筆記具のシリアルナンバーの構成や桁数については明記されていないので、アルファベットがどうとか、8桁なのか9桁なのかという部分についての定義は分かりませんが、普通に考えて同じシリアルナンバーは世界に二つとあってはいけません。
 
ですのでシリアルナンバーは、真贋判断のひとつの有力な材料であることは間違いなさそうです。
 
※シリアルナンバーが付きだしたのは1989年のベルリンの壁崩壊後、東西ドイツ統合以降製造から(およそ1991年~)とされていますので、クリップリングの刻印が「W.-GERMANY」あるいは「GERMANY」(レーザー刻印ではない)の場合は、逆にシリアルナンバーが付いていないものが正と考えられます。
 
次にクリップの部分ですが、正面から見た分についてはほぼ同じと前述しました。
 

 
左:偽モン  右:本物
 
クリップ裏側にも刻印があるのですが、偽物の刻印は「Made in Germany」、本物は「Pix®」です。ただこれについてもはっきりとした文献はなく、製造年によって変わっている可能性はあります。
 
現にPix®に変わったのは1991年からとされています。これ以前の刻印は「Made in Germany」の可能性もあるわけですね。
 

(2019.12追記)

2019/12/25の記事でクリップ裏の刻印について書いています。

製造年代からするとクリップ裏の「Made in Germany」刻印は「Pix®」刻印の後という可能性が高そうです。

 

しかしながら、クリップ裏に製造国を示す「Made in Germany」刻印がある場合、クリップリングの刻印は「シリアルナンバー」のみとなり、当記事の偽モンのようにクリップ裏とクリップリング両方に「GERMANY」の刻印は被らないことになります。

詳しくはこちらの記事↓

壊れたボールペンは自分で修理して使う!【モンブランマイスターシュテュック164のリペアと各年代ごとの特徴】をご参照ください。
 

 
左:偽モン  右:本物
 
クリップ部での本物と偽モンの違いは、クリップ性能にもあります。これは実際に厚手のポケットに挿してみないと気づかないのですが、横から見た形状についても若干異なっています。
偽モンの方が矢印の部分が膨らんでいますね。このため厚めのポケットに挿すときに引っかかりが生じます。
 
一方、本物はクリップの先に向けて緩やかにカーブしており、生地がクリップの奥へ入りやすいようになっています。
このあたりのこだわり抜いた細かな仕上げも本物は流石です。
使っていて気持ちいい!
 

 

外観比較/三連リング

ボールペンの真ん中の部分に当たる三連リングを細かく比較していきます。
リングの間隔等は同じに見えます。
 

 
左:偽モン  右:本物
 
違いは刻印の深さ。刻まれた文字の深さというかくっきり度が、偽モンの場合薄いです。
手元にある偽モンの「Pix®」の部分は読むのが難しいほど薄いです。
 
これは偽モンの万年筆にも言えることですが、全体的に刻印が薄い。ニブの刻印などを見れば一発で分かるレベルです。また、字体の大きさが偽モンの方が大きいです。
 


 
左:偽モン  中:本物  右:本物(万年筆)
 
一番太い真ん中のリングを細かく見てみると、まず上下がライン取りされています。
真ん中のスペースに「MONTBLANC-MEISTERSTUCK-Pix®-」と刻印してあります。“A”“U”の特殊なフォントは本物も偽モンも同じ。
 
ただ、文字が掘ってある上下のラインとのバランスが悪いのが偽モン。
そして、この三連リングのあたりの仕上げが雑なのが偽モンです。黒い樹脂の部分を見てみると歪みがあります。
本物はこういった歪みはなく細部まで美しい仕上がりです。
 
また、このキャップリングのロゴ上下の黒い部分が単なる黒い溝になっている偽モンもたまに見かけます。マイスターシュテュックを見慣れている人からすると明らかに違うためすぐに気づくのですが、見慣れていない方は要注意。
 
明らかに違うものをモンブランと偽って出品しているパターンと、精巧にコピーされたものをモンブランと偽って出品しているパターンの2種類があり、後者は特に厄介です。
少しでも怪しい部分がある場合は出品者に質問するかネットで調べるなどして安易に手を出さないようにしましょう。
 
今まで比較してきた部分も、遠巻きに見ただけではまるで気づかないレベルまできていて、偽モン恐るべしと言わざるを得ません。
 

 

外観比較/口金


 
左:偽モン  右:本物
 
最後は口金の比較です。
偽モンを使ってみて最初に違和感を覚えるのが筆記感かも知れません。
 
ペン先を見ると口金が分厚く、リフィルに対しての穴も大きいので筆記時にペン先がブレます。これはいただけません。
 

 
上:偽モン  下:本物
 
口金が分厚いためにペンポイントも若干見にくくなっています。
最初から装填されていたリフィルも本物なのかどうなのか分かりませんが、印刷されているロゴなどの文字が滲んでいました。
このままでは使いづらいので、リフィルの先にマスキングテープを巻いて口金との隙間を埋めて使っています。
 
また、私の手元にある偽モンは大丈夫なのですが、偽モンの中にはフィリル交換の際、同軸からバネが出てくるそうです。
そうなってくると軸のクオリティーはその辺の100円ボールペンと同じですね。
 

 

まとめ

さて、今回、手にした偽モンを隅々まで確認してきました。
ぱっと見は本物に近いですが、様々な作り込みが偽モンでした(偽物なので当然と言えば当然ですが…)。
 
ネットでモンブランを購入するときは注意が必要です。特にオークションなどはかなりの確率で偽物に遭遇するリスクがあるので、しっかりと見定めましょう。
 

 
◆オークションで偽物を見抜くためのまとめ◆
 
①画像でシリアルナンバーが確認できない場合は質問する
偽モンは詳細な画像を載せていない場合がほとんどです。ピンぼけや引いて撮影してある画像は要注意。
よく「専門的な知識がないため質問には答えられない」といった出品者がいます。
専門的な知識がなくても シリアルナンバーの確認くらいできるはずですので、質問してみて何らかの回答をしてこない出品者は怪しいです。
 
②クリップ裏の刻印の確認、ボールペンについては天冠の部分が外れるかを確認
これも専門的な知識がなくても現品が手元にある出品者なら確認できるはずです。
ただ、前述したようにクリップ裏の刻印が無いからといって偽モンという判断はできません。ベルリンの壁崩壊以前のモデル(クリップリングにW-GERMANYまたはGERMANYの刻印のみ)についてはもともとクリップ裏の刻印が無い可能性が高いです。
現行モデルでいうと、角ばったフォントのGERMANYと同フォントのシリアルナンバー、キャップリングのPix®とクリップ裏のPix®、この4点が揃っていることが本物の判断基準と言えそうです。
 
③出品者の評価や出品リストを見る
偽モンを取り扱う出品者は、種類を変えてモンブランのペンばかりを出品していたり、評価数も50以下というケースが多いです。
専門知識のない個人出品者でモンブランのペンを大量に持っているというのは一般的にありえない話です。専門知識のあるモンブランマニアが大量のモンブランを持っているならまだしも、です。
 
④出品されているモデルや型番を見極める
近年、偽モンのクオリティも上がってきていると書きましたが、それ以前に出品されているモデルが本当にモンブラン筆記具のラインナップにあるものなのか、これを最低限見極める必要があります。
見極めるといってもモンブランのサイトを見るだけなのですが、明らかにラインナップに無いおかしな軸色をしたマイスターシュテュックや、ペン先のおかしなスターウォーカーの万年筆や、細かいところでマネし切れていないアガサクリスティーモデルやヘリテイジモデルなどなど。
限定モデルで、例えば****/8000等のシリアルナンバーが刻印されている特別生産品については、母数が合っているかも重要な判断基準です。
パッと見ただけでも相当な数のモンブランの偽物が出品されています。まず最初のフィルターとして、そこには引っかからないようにしましょう。
 
入札する前にこの4つを押さえるだけでも、偽モンをかなりの確率で避けることができるはずです。
また、ネット上には堂々と「モンブランコピー」とうたって模造品を販売しているサイトもあります。定価を切る値段(ボールペンであれば3万円以下)で販売されている場合は疑った方がよさそうです。
 
悲しいのは、偽モンが溢れているせいで偽モンを本物と思って気づかず使ってしまっている方がいるということです。偽物が出回ることで本物の価値を下げてしまいます。
本物のモンブランは素晴らしい筆記具です。決して安くはない買い物ですが、本物を使いましょう!
 
以上、モンブランボールペンのレポートでした。
 

 

番外編:偽モンとそっくりさん?の比較


 
比較の番外編として、今回の偽モンとなぜか職場にあったヒルトンホテルのアメニティー?とおぼしきボールペンを比較します。
なぜ比較するかというと、そっくりさん?は明らかにモンブランのボールペンを意識している(と思われる部分がある)からです!
 
【外観/キャップ部】
 

 
ペン自体の長さはほぼ同じ。素材はプレシャスレジンではなく、見るからに普通の黒いプラスチックです。一番のそっくりポイントはこのクリップの形状!天冠に白いマーカーで星を書きたくなります(笑)
 

 
クリップは似せながらも回転式ではなく、オリジナリティーのあるノック式!キャップをノックして芯を出す方式です。そして見た目の重厚感?とは裏腹に、わずか約10gという軽さ!
ヒルトンホテルに宿泊した際はこのボールペンに出会えるかもしれません。
 
以上、モンブラン マイスターシュテュック/クラシック ボールペン(+α)の比較レポートでした。
モンブランは筆記具沼の底と定義していたので、これで私の筆記具道楽は一段落ついたと言っていいです。
※あくまで一段落なのでまだまだ欲しいものはあります
ではまた!
 
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