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モンブランマイスターシュテュック149徹底比較 【1970~80年代と1990年代~2000年初期のモデル比較】

2024年2月14日

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皆さんこんにちは。

 

かなり前の話になりますが、今年の新年筆にモンブランマイスターシュテュック#14990年代以降製)を入手したというツイートをしました。

よく考えればもう半年前の話になりますね…。時が経つのは早いものです。

 

自身では2本目となるマイスターシュテュック#149

1本目は7080年代の#149で字幅はF。これは川口ペンドクターに調整して頂いた思い入れのある一本です。

 

今も書き味は良好で何度もモンブランのインクを吸っています。

(それにしても今の昔も、なぜマイスターシュテュックにはニブに字幅の刻印が無いのでしょうか?)

 

 

2本目となる#149は、前々から買おうと決めていた90年代後期以降のプラスチックペン芯にバイカラーニブ、ピストンユニットが金属製のもの。

 

モンブランの#1491950年代から様々な仕様変更を重ね現在に至っています。

ニブのバリエーションは実に7種類にもなります。

(全金ニブのバリエーションも含めるともっと多いかも知れません)

 

最終的な目標は全年代の#149を入手し比較することですが、たちまち手元に置きたかったのは見た目の違いも分かりやすい7080年代と90年代以降の#149

 

あれから常にペンケースに入れ、仕事にプライベートに使い倒してきて感じた2本の違いや使用感について比較をまとめていこうと思います。

 

それでは見ていきましょう。

 

 

 

 

90年代後期型の#149の特徴(キャップ編)

まずは現行品に繋がる90年代後期以降の#149を、旧モデルと比較を交えつつじっくり見ていこうと思います。

 

▲左が90年代以降の#149、右が70~80年代の#149

 

と、その前に、90年代後期以降と書いておきながら厳密に言うと、この#1492003年以降に生産されたモデルということになります。

※その90年代後期と2000年代初頭の特徴については後述していきます。

 

 

キャップの特徴からですが、シルエットは今も昔も同じで丸く大きめの天冠にクッキリとホワイトスターが象嵌されています。

このホワイトスターの大きさはマイスターシュテュックシリーズで共通していて、全長が一番短いモーツァルトとも同じ。

 

 

 

▲製造年代によるモンブラン筆記具のクリップ形状(クリップ根本・クリップ先)の違い

左が90年代以降のモンブラン#149

 

クリップは付け根が角形(いかり肩)でクリップ先が楕円(いなり)のクリップ。

いかり肩とはクリップの付け根の形のことで、年代によって大きく「なで肩」と「いかり肩」という風に呼び分けられる場合があります。

 

主に70年代より前のモデルが丸形(なで肩)、80年代より角形(いかり肩)が採用されるようになりました。

 

クリップの「いなり」とはクリップ先端裏の挟む部分の形で、楕円形になっているのが分かります。

ここがなぜ「楕円」と呼ばれずに「いなり」と呼ばれているのかわかりませんが、面白い見分け方(呼び方?)だと思います。

 

旧年代のものは三角形をしていて「おにぎり」と呼ばれる場合があります。(上の写真の右「Pix#172ペンシル」がそれに当たる)

 

実際、クリップが「いかり肩・いなり」になったのは1983年頃からとされていて、それ以降の#149はほぼこの形。

それから現行に至るまでクリップリングとクリップ裏の刻印は変われど、クリップのシルエットとしては同じとなっています。

 

 

クリップの裏には「Pix®」の刻印。

90年代以降製のマイスターシュテュックには、ボールペン・万年筆問わず付いてくる刻印です。

現行品になるとクリップ裏の「Pix®」は姿を消し「made in Germany」に。

 

 

 

クリップリングには「GERMANY」とその反対側にある「シリアルナンバー」の刻印。これもひとつ前のモデルの特徴です。

現行品はクリップとは対面側のクリップリングにシリアルナンバーで、「GERMANY」は「made in Germany」となってクリップ裏に移動しています。

 

 

 

続いてキャップリングの刻印を見てみます。

太い字体で「MONTBLANC-MEISTERSTÜCK No 149 –」。こちらはキャップリングにまだ「Pix®」が入っていない時のモデル。

 

90年代以降の#149が約3年~4年周期(ニブのデザインでは910年周期)でマイナーチェンジを繰り返していることから、おそらく2007年製あたりからキャップリングに「Pi®」が入るようになったのではと推測します。

 

 

▲左が90年代以降、右が70~80年代以降。

7080年代の#149にはMEISTERSTÜCKの「Ü」のウムラウトの位置が微妙に違うものが見られる。

 

このキャップリングの字体も細字から太字へと変更されていきました。個人的には太軸には太字体が似合っているように思います。

 

 

7080年代と90年代後期型の#149を比較(胴軸編)

次に胴軸~首軸を比較を交えて見ていきましょう。

 

 

当たり前かも知れませんが全体的なシルエットや太さは2本とも同じ。

違いとして目をひく部分と言えば、首軸の形状ではないでしょうか。

 

ペン芯がエボナイト製からプラスチック製に変更された年代(8090年代)をさかいに、首軸の構造も変更されています。

 

 

ペン先と首軸の接合部の部品がなく一体型となっているのが80年代までの#149の特徴。

一方、80年代以降は接合部分が別パーツとなっています。

 

 

おそらく修理やメンテナンスのし易さという点で変更されたのかと推測しますが、ペン先を分解・差し込むためのカニ目などは同じ(若干穴の幅が違うようにも見えますが…)で、自分でメンテナンスする場合も同じ器具が使えそうです。

 

 

インク窓は同じでストライプあり。

モンブランのマイスターシュテュック#149といえばコレですよね。

 

149の全身であるマスターピースや70年代の#146はクリア(クリアグレーやイエロー等)のインク窓でしたが、ストライプのインク窓はとてもお洒落で好感が持てます。

 

ブラックやブルーブラックのインクを入れるとこのストライプが消失し、一本の黒い軸になるのも面白い。

 

 

次に、ピストンユニットの違いもこの2つの年代の違いとして顕著です。

90年代より#146・#149共に金属製のピストンユニットになりました。

 

それに伴い軸の重量も90年代の#149の方が重くなっており、私のように7080年代#149の「重量」に物足りなさを感じている方には嬉しい変更点かも知れません。

 

そんな筆記感にも関わってくる重量ですが、スペックとしてみると

 

7080年代製の#14925

90年代以降製の#14932

 

とその違いはわずかですが、実際に持ってみると持ち上げた瞬間から分かるくらい違います。

 

私個人としてはこの軸サイズであれば重みのある方が手にしっくりくるのですが、皆様はいかがでしょう。

 

 

マイスターシュテュック#149の書き味について(ペン先編)

続いては肝心な書き味について、ニブやペン芯の違いと共に見ていきたいと思います。

 

▲左が90年代~00年初期の#149、右が70~80年代の#149

 

ニブは18金バイカラーニブで、俗に言う「白帯」。

近年はこの白帯の大型ニブが#149の特徴となっています。

 

一方、7080年代の#149はバイカラーの帯では無く「中白」。

見栄えに大きく差がありますが、どちらも大型ニブで存在感抜群!!

 

 

90年代以降のニブのシルエットは若干角が甘めになって丸みを帯びています。

7080年代のニブは角が立っていて剣先のよう。

私はニブの形は7080年代のニブが好みですが、「#149と言えば白帯派」ですので悩ましいです。

 

 

 

刻印を詳しく見てみると、

上から、「4810」「モンブランのマーク」「18K」「MONTBLANC」「750

 

お馴染みのモンブラン標高とマーク、素材の18金を表す刻印(18K 750)にメーカー刻印と情報量は多く、これぞ万年筆のペン先といった風格。

 

 

ペン芯はどうでしょう。

こちらの特徴として、三角形の凹みがあること。

 

 

90年代以降の#149のペン芯は大きく3種類あり、ペン芯の上部が逆T字になっているもの、ペン芯の上部がフラットなもの、そしてこのペン芯のように三角に凹んでいるもの。

 

この三角の凹みが特徴のペン芯は2003年頃から出回り始めているため、手元の#1492003年頃~ニブのデザインが変わる2016年頃にかけてのものだと判断できます。

 

▲参考:80年代のマイスターシュテュックに多いエボナイト2段ペン芯

 

この万年筆の製造年を特定したところでどうということはないのですが、何となく生まれ年辺りの#149を探したりする時など覚えておいて損は無さそうです。

 

 

 

実際に書いてみると、この白帯#149は文字幅がB?というくらい太いです。

しかしペン先の形を見ると中字()

右側は比較の70~80年代の#149(F)で書いたF文字。

 

 

インクフローはかなり潤沢で、薄いメモ用紙だとシワシワになるほど。

この筆は出番を選びます。

 

 

個人的にはもう少し細い方が使いやすいため この#149を休める機会があれば研ぎ直してもらおうかと思います。

一本くらい太めがあってもいいですが、やっぱり使いやすい字幅でもっともっと使いたいですからね。

 

 

90年代~00年初期製のモンブラン#149まとめ

さて、今回は7080年代製の#14990年代以降製の#149を比較してきました。

皆さんはどちらがお好みでしたでしょうか?

 

 

同じマイスターシュテュック#149ですが、製造年代によって細かな部分で違いが見られました。

私は2本愛用していますがそれぞれで好みの部分が違い、7080年代の#149はニブ形状と書き味(これは調整して頂いたというのもありますが)、90年代以降の#149はどっしりとした重さによる筆記バランスと存在感です。

シーンによって使い分けていますが、複数本あることで異なるインクを楽しめるというメリットもあります。

 

90年代後期~2000年代初期の#149をおさらいすると

 

18金白帯バイカラーのニブ、プラスチック製ペン芯

・ペン先と首軸の接合部分は別パーツ

・インク窓は1950年代から受け継がれてきたストライプ窓

・ピストン機構は金属製で重量が30gオーバー

・クリップはいかり肩でクリップ先は楕円(いなり)

・クリップリングに「GERMANY」と「シリアルナンバー」

・クリップ裏に「Pix®」刻印

・キャップリングの刻印は太字(後期モデルはPix®あり)

 

となっています。

 

 

とにかく存在感のある万年筆。

マイスターシュテュックというラインナップで見ると、書きやすさ・携帯性で使いやすいのは間違いなく#146なのですが、その所有満足感と存在感に取り憑かれて懐に余裕が出来るとバリエーションを求めて増えてしまう恐ろしい万年筆が#149と言えます。

 

ただ、マイスターシュテュックシリーズはモンブランの歴史を感じることが出来るモデルですので、興味のある方はぜひ一度手に取って見て頂きたいです。

そこにはきっと今までとは違った万年筆境地が広がっている事でしょう。

 

 

長くなりましたが 今回はこの辺で。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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